Scrap&Rebuild Project

 ” つくる環境をつくる ” Scrap & Rebuild Project"。
このプロジェクトは、VIVISTOP柏の葉がオープンして2年が過ぎた2019年2月、「VIVISTOPをもっともっと新しいチャレンジができる場所にしていきたい。」という想いから始まりました。

この場所のユーザーである子どもたちとクルーが設計者になり、そして設計事務所のオンデザインさんにファシリテーションとサポートをしていただきながら、一緒になって考え、つくり、話し合いを重ねて、環境をつくり変えていきました。

 完成形を描くことなしに始まったこの実験的なプロジェクトが、どんな道のりを歩んできたのかご紹介します。

 

 

VIVISTOP柏の葉をからっぽに

プロジェクトが始まる時、まずしたことは、野焼きをするように、慣れ親しんだVIVISTOPをからっぽにすることでした。

大人と子どもが対等な立場で、本当の意味で一緒につくっていくためには、これまで色々な活動や考えから揃えてきた道具や環境を、物理的に手放し、何もない状態からスタートすることが、VIVISTOPに頻繁に来る子どもたち、たまに顔を出す子どもたち、運営するクルーたち、誰もが対等になれる条件だと思ったからです。

vivistop201902

ものすごく不安もあったものの、だからこそ誰もがこれまでの経験や考えに囚われず、みんながフラットに参加できるプロジェクトになった気がします。からっぽになり余白が生まれた空間では、これまで出来なかった創作活動やコミュニケーションが生まれたりもしました。

 

 

つくって、試して、考える。

実寸大のダンボール模型

からっぽになってから数日後。
VIVISTOPにあったら良いなと思うモノを、手を動かしながら考える期間を設けました。
 
実寸大で模型をつくり、なぜそれが欲しいのか理由を添えて、からっぽの空間に自由に配置していきました。それを建築家が忠実に記録し、記録が終わったらダンボール模型を解体する。
つくって、使用感を試して、記録して、壊して、またつくる。
模型の材料は、どんな人も手軽に加工ができるダンボールを使ったのもポイントで、つくる数や大きさ、内容に一切制限を設けなかったので、結果的に大量に出来た模型たちがVIVISTOPを埋め尽くすという圧巻の光景を生み出しました(笑)

活動の様子
活動の様子

 

ゾーニングを考える

ダンボール模型作りが始まって2週間が過ぎ、からっぽの中で、自分のやりたい活動や、進行中だったプロジェクトの続きをやる子など、いくつかの活動が並行して始まっていました。

その活動中に3つの概念(パブリック・コモン・プライベート)を持ち込み、VIVISTOPを白い布で3つ空間に分ける検証をしました。
布の配置は、子どもたちと一緒に、曜日や時間、活動内容によって変化させ、空間の使い方や生まれたコミュニケーションを記録していきました。

今回の一番の収穫は、パブリック(会員以外も入れる場所)を設けたことでVIVISTOPで生まれるコミュニケーションに大きな変化が見られたこと。
自分の作品を誰かに試してもらう場、通りがかりの親子にVIVISTOPを知ってもらうとして機能していたのが印象的でした。

白い布で区切った空間


 

話し合いと、大人たちの試行錯誤

3月下旬。約1ヶ月半道具や什器が不揃いの空っぽ運営をしてきて、感じたことや起こったことを子どもたちとの振り返り会をしました。

出てきた意見の中には、掃除道具の置き場所や、時計の位置など、これまでも言ってくれればすぐ変えることができることなのに、初めて知った想いもあって、子どもたちに、これまで環境に対する意見を言う機会を与えていなかったんだと反省したりもしました。

ミーティングで出た意見

そして、これまでのダンボール模型、ゾーニング、話し合いを経て、子どもたちが形と言葉にしてきたことの真意を読み解く大人たちのミーティングもたくさんしました。
「この什器の模型を作った意図は、実はこれが欲しいのではなく、こういう領域が欲しいんじゃないか」と一度抽象度を高めて、それを再び作者の子どもと共有し、話してみる。
そんなことを繰り返しながら、オンデザインさんが子どもたちとクルーの想いを形に落とし込んでいってくれました。

そうして完成した、新しいVIVISTOPの1/20の模型。
たくさんの子どもと大人のアイデアが、9つの家具「VIVIFURNITURE」として領域を形成していました。

この段階で再び、子どもたちとの全体ミーティングを行いました。
オンデザインさんの模型はかなり精巧で、とっても可愛らしいので、子どもたちもテンションが上がっていたし、リニューアルしたVIVISTOPの使い方を想像しながら、笑顔で共有ミーティングを終えることが出来た気がします。

模型を見ながら話す 

  

新しいVIVISTOPのはじまり

新VIVISTOPのプラン共有も終え、いよいよ施工がスタート。
地元・柏市の小倉建設さんにご協力いただき、短期間でみるみる形になってきました。

そして迎えたお披露目の日・・!
集まった子どもたちと除幕した瞬間、「わー!」という歓声。
そして始まったVIVISTOPツアー。

VIVISTOPは新しくなったけれど決して完成したわけではなく、これからみんなの手で変え続けることができるように生まれ変わっただけ。みんながVIVISTOPのオーナーで、これからがはじまりです。

お披露目会 

 

おわりに

VIVISTOPはこの場で活動する私たちが、自分たちの手でつくりかえていく場所。昨今、世界の情勢も変わり続けていますが、VIVISTOPも常に進化し続け、新しい出会いとチャレンジがたくさん生まれる場所であり続けたいと、これを書きながら改めて感じる今日このごろです。

つくりかえた実践を、これからはじまる活動につなげるために、このプロジェクトを本にまとめました。プロジェクトの経緯を写真やストーリーで詳細に振り返ることができるほか、Scrap & Rebuild Projectを経て残った道具図鑑や、一人ひとりに起きた小さな心の変化も記録しています。

VIVISTOPでこれからやりたいことを、読みながらイメージしてもらえるとうれしいです。

 

 

 

 

 

活動の様子