VIVITA ARTISAN SHOES Project
神戸市や、地元の企業と連携して動き出した VIVITA ARTISAN SHOES プロジェクト。その地域の子どもたちが自由な発想でシューズのデザインをローカライズすることにチャレンジしてできた作品です。自分の住む街を意識して、その街で履きたくなるような靴をつくりました!
VIVITA ARTISAN とは?
子どもたちが、第一線で活躍するアルチザン(職人)やクリエイターと共創するプロジェクト「VIVITA ARTISAN」の第一弾として「SHOES プロジェクト」を神戸市で開催しました。子どもたちがプロフェッショナルの仕事に触れながらアイディアを具現化し、商品開発に挑戦しています。
VIVITA × MAGARIMONO Powered by 神戸市 & ASICS
本プログラムは神戸市の「CO+CREATION KOBE Projectこどもの創造型」助成対象事業として、VIVITAが主催し実施されました。
神戸市に本社を置く総合スポーツ用品メーカー「アシックス」、誰も触ったことのないフットウェアを追求する「MAGARIMONO」と一緒に、約2ヶ月かけてかたちにしていきました。
プロジェクト始動!
この活動のスタートは、2020年10月10日(土)・11日(日) の2日間。神戸市のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)にて動き出しました。
今回のプロジェクトには、神戸市在住の小学4年生〜中学2年生のみんなが参加しました。
SHOES Projectの特徴のひとつは、まずは作ってみて感じること、使ってみて気づくこと。VIVITAでは「まずは自分で靴をつくってみよう!」からスタートします。
VIVITAは「自分ごと」として取り組む活動を大事にしています。まずは自分の履く靴をつくってみる、使ってみることを通してて、もっとこうしたいという自分の意思を持ち、自分ごととして考えることができる活動にしていこうと思っています。
協力してくれたアシックスさんから、実際に研究所等で靴の開発に使っている素材をたくさん提供していただきました。その素材のなかから、それぞれ自分の好きなものを選んでオリジナルのスニーカーのデザインを考え、かたちにしていきました。
自分がつくった靴で神戸の街を歩く!
自分でつくったオリジナルスニーカーを履いて、神戸市神戸の街を歩きます。活動場所のKIITOから市役所までは700メートル、徒歩で10分ほどの道のりです。履き心地はどうなのか!?
神戸の街を歩いて帰ってきたみんなからは、いろんな意見が出てきました。
「もう少していねいに縫えたらよかった」「もう少し丈夫な布を使えばよかった」「重さのバランスを考えればよかった」などなど、実際に履いてみて気付くことがたくさん。「自分が靴をつくるなら…もっとこうしていきたい」という気持ちが生まれるきっかけになりました。
デザインテーマについて考えてみる。
「神戸と聞いて思い浮かぶイメージはなんだろう?」「どんな人に履いてもらいたい靴をつくりたいのか?」「神戸のどんな場所で履きたい靴なのか」いろんな視点で議論して、神戸の街のイメージを取り入れた靴のデザインを考えていきました。いろんなキーワードや夢のある提案がたくさん出ましたが、突き詰めて2つのテーマに絞られました。
ひとつは、神戸の「みなとまち」。神戸と言ったらやっぱり港のイメージが強く、この港に似合う靴をつくってみたいという意見がたくさんありました。
もうひとつは、神戸の「しぜん」。神戸には海もあるし山もある。子どもたちには、神戸の自然はとてもきれいで誇れるもの、というイメージがあるみたいでした。
今回の活動で決定したテーマやアイデアをもとに、自宅でデザインシートを作成する課題を出しました。11月の活動までにオンライン活動をはさみつつ、各々で靴のデザイン案を考えます。
みんなでデザインをかたちにしていく!
11月8日(日)、みんながKIITOに集まりました。思い思いに描いてきたデザイン画を共有します。ユニークなアイデアがたくさん出てきました。それぞれが思う「神戸市らしさ」を表現しています。
みんなが考えてきたアイデアをベースにして、グループごとに新たなデザインを考えていきます。
どうしても譲れないポイントはどこか、どうしても表現したいことは何か、みんなで話し合い、互いのいい部分をあわせることでより面白いデザインに進化していきました。
原理試作にチャレンジしてみよう!
考えたデザイン画をもとに原理試作を制作します。MAGARIMONOが用意してくれた靴木型に直接、布や粘土を貼り付けてかたちにしていきます。靴の質感を確かめたり、ちゃんとかたちになるのか確認するための作業です。
「みなとまち」チームは、「神戸の街の上を歩く」というコンセプトのデザイン。なんと、ソール部分に神戸の街並みが表現されています。アッパーはまち歩きを意識して、スマートなフォルムです。
「しぜん」チームは、ソール部分に海を表現し、靴底のパターンは何とおさかな。ミドルソールの黄色のラインは神戸の街のきらめきを表現しました。アッパー部分に山と空(太陽)をデザインしたスニーカーです。六甲山牧場の羊がチャームポイント。
靴の制作するための仕様書を作ろう!
完成した原理試作をもとに、それぞれのチームがデザインの最終形を確定させます。デザインだけでなく、MAGARIMONOにプロトタイプを発注するための仕様書として、デザインの意図やコンセプトしっかりとつくりました。
「みなとまち」チームの仕様書です。ソールには神戸のランドマークがこれでもかと配置されています。この斬新なデザインを実際に履ける靴にするにはどうしたらいいか…。MAGARIMONOのメンバーは少し苦笑い。でもきっと、ステキに仕上げてくれるはず。
「しぜん」チームの仕様書です。靴底のデザインを考えているとき、最初はタコのアイデアが出ていたのですが、「タコは明石なんです・・・」と神戸市の辻さんが苦笑いしながら教えてくれました。「神戸市の有名なお魚は何ですか?」と質問したところ「いかなご(小魚)です!」とのことだったので、デザインは名もなき魚になりました。
それぞれのチームの仕様書と原理試作が、MAGARIMONOに託されました。子どもたちのアイデアを靴のプロフェッショナルはどう表現するのか?
制作視点からの逆提案!
11月12日、オンラインでの制作共有会が開催され、MAGARIMONOさんから現在の制作状況をフィードバックしてもらいました。
なんと…。「みなとまち」チームの神戸の街はソールの外側に大胆に配置され・・・。「しぜん」チームの靴底デザインは、リアルな魚(鯛)があしらわれています。デザインがよりブラッシュアップされ、みんなのテンションも上がります。発表会のときに手に取るのが楽しみです。
完成した靴に出会えた日
12月6日(日)、再びメンバーがKIITOに集まりました。このプロジェクトもついに最終日です。オンラインで制作過程は共有されていましたが、実物のプロトタイプに対面するのは今日が初めてです。制作したMAGARIMONOからは「みんなのアイデアやコンセプトを大事にしながら、みんなが見せたいものをちゃんと見せられるようバランスを考えながら、靴職人、デザイナーとして、ユニークさを追加して面白く表現しました。」とコメントも。
実際に出来上がった靴を見て、子どもたちも達成感や納得感でいっぱいのようでした。代わる代わる靴を履きながら何度も頷いています。
商品発表会に向けての動画作り
それぞれのチームで商品名や発表のプレゼンテーションの準備をします。
お披露目するのはプロトタイプですが、商品化を目指すという大前提のもと、あくまで商品発表会という設定で準備をしていきます。
「みなとまち」チーム
「神戸の街へ出かけられるように」という思いを込めて、「BE KOBE」をもじった「GO KOBE」に決まりました。
この靴のデザインには、「おしゃれで、神戸の街を歩いたときに自慢できるような気持ちになるといいな」という思いが込められています。
神戸の街のいろんな要素を詰め込んだデザインであること。神戸の街、空、海、港、山のすべてを表現しているこの一足で、「港町 神戸」のすべてを伝えることができます。
プロモーション動画も、そんな靴の特徴をちゃんと伝えられるドラマ仕立ての演出でつくろう!ということになりました。みんな演技初挑戦で、何度も取り直ししながらつくったショートムービーは、とっても魅力的な動画に仕上がりました。
【VIVITA ARTISAN】"SHOES プロジェクト" in 神戸-神戸の街や港を楽しく歩ける一足!
「しぜん」チーム
海と山、豊かな自然がある神戸の魅力をぎゅっと凝縮してあるということで「THE KOBE 〜神戸のしぜんをぎゅっと凝縮〜」という商品名になりました。
この靴の特徴はやっぱり、「靴底のリアルな魚」のデザインと、楽しい気持ちになる賑やかなカラーリング。
「かくれんぼは足跡ですぐ見つかるな」「でも、色鬼めっちゃ強いで」「かくれんぼも、鬼をあざむくのに使えるやろ」というカナの発見から、この靴の推しポイントも決まりました。
プロモーション動画の構想は、「歩いていたら、誰かが落とした魚を踏んづけて靴底が魚になる」という絵コンテをベースにアイディアを膨らませました。
この靴のデザインで表現した「海の色、波のゆらぎ、街のあかり、山の色、空や雲の色、太陽のかがやき、神戸への思い」が靴のかたちになっていく様子をストップモーションのアニメーションで表現しよう、ということに決まりました。
【VIVITA ARTISAN】"SHOES プロジェクト" in 神戸-神戸の海や山を感じられる一足!
商品発表会!
発表会が始まる時間に神戸市・アシックスの皆さんが活動に合流し、プロジェクトメンバーの保護者、ご家族の方々にも会場にお越しいただきました。みんなで子どもたちのプレゼンテーションを見守ります。
今回の商品発表会で披露された、各チームのプレゼンテーションスライドをご紹介します。
最後に
こどもたちの自由な発想で、神戸のまちにローカライズしたデザインを考え、かたちになった2足の靴。神戸に暮らす子どもたちが、自分たちの住む街の特色や魅力はなんだろうか?という部分に向き合い、その要素がギュッと濃縮されてできた作品です。
今回はプロトタイプとしてそれぞれ一足づつしか制作しませんでしたが、いろんな地域の子どもたちが自分の街を自分の足で歩くための靴を生み出す考” SHOES プロジェクト”の活動を、今後もいろんなアプローチで続けていきたいと思っています。
このストーリーに共感していただいた方に、この靴を履いてもらえたらうれしいです。
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